シーリングからの事業展開
信用金庫と歩んだ事業承継と経営の多角化


1978年に大阪市阿倍野区で創業し、直近までシーリングを主軸として事業を行ってまいりました。「宝シール工業」という社名からステッカーや印刷の会社と誤解されることも多いのですが、建築のシーリング・防水工事を40年以上にわたり手掛けてきた会社です。
大きな転機となったのは2024年です。外装修繕を手掛ける会社を買収し、2025年に吸収合併したことで、従来のシーリング工事に加え、マンションの大規模修繕、店舗の外装修繕、遮熱塗装、床などへの各種コーティング業務へと大きく事業領域を拡大しました。
現在はシーリングを軸としつつ、外装修繕や各種コーティング事業に注力しています。これまで積水ハウスさま向けにはシーリングを中心に納入していましたが、今後は高い耐久性と防汚性能を持つコーティング加工技術や自社商材の提案も進め、新たな売上の柱として育てていきたいと考えています。


私は2016年に別会社から戻り、そこから事業承継に向け動き出しました。姉と妹が金融機関出身だったこともあり、「何か対策をしなければ」と話し合ったのがきっかけです。ただ、当時は全く手探りの状態で、引き継ぎに関する十分な情報もないままスタートしました。
2017年頃には先代が実質的な休業状態となり、十分な引き継ぎができないまま、社内に残されたメモ書きなどを頼りに対応を進めました。当初は保険会社のファイナンシャルプランナーや会計事務所に相談していたのですが、なかなか明確な解決策や具体的な進展が得られず、対応が停滞していました。
会計事務所から他の銀行を紹介されましたが、「それなら以前からお付き合いのある大阪シティ信用金庫さまに相談してみよう」と考え、お話を持ちかけたのが始まりです。
大阪シティ信用金庫さまに相談したところ、非常にスピーディーで前向きな回答をいただくことができました。

ホールディングス化に向けた具体的な構図づくりから、手続きが難しかった事業用不動産の移転の手続きまで、一つひとつ段取りを組んでサポートしていただきました。
また、自社株の承継についても、適切な自社株対策やあらゆる視点から様々なアドバイスをいただき、調整を図ることでスムーズに手続きを進めることができました。公認会計士の先生の紹介を含め、実務面で手厚く支えていただきました。

ホールディングス化に伴い役員構成が変わり、経営陣の若返りと意思決定の迅速化が図られました。これにより、社内全体で「新しいことに取り組んでいこう」という前向きな雰囲気が自然と生まれてきました。
さらに、新築住宅建築数の減少を見据え、シーリング一本に頼る経営からの脱却を目指して動きました。大阪シティ信用金庫さまからM&Aサイトや専門の仲介会社をご紹介いただき、数年かけてパートナーを探した結果、2024年に外装修繕を手掛けるランテック株式会社の買収・グループ化に至りました。
ランテックの参加により、仮設足場の組立てからシーリング・防水、塗装、下地やタイルの補修まで、建物の外装改修工事全般を自社で管理も含めてワンストップで手掛けられるようになり、積み重ねてきた実績をもとにクライアント企業のリフォーム部門などへのアプローチも大幅に強化されました。

非常にレスポンスが早く、フットワークが軽い点です。本格的に対策を進め始めてからは、多い時には月に5回から10回近く足を運んでいただき、具体的な動きを進めていただきました。
ある意味でメガバンクさまとは異なり、地場に根差したコミュニケーションを大切にされていると感じます。支店長さまも含めてすぐに相談に乗っていただける体制もあり、とても心強い存在でした。

同族会社の経営者はどうしても自社内に意識が向きがちですが、事業承継や自社株対策は「とにかく早めに取り組むこと」が極めて重要だと実感しています。
「業績が良いから安心」ではなく、業績が良い時期だからこそ適切な対策を打つべきです。日頃の取引を通じて自社の変化に気づいてくれる地場の信用金庫など、信頼できる金融機関に早めに相談し、疑問に思ったことはどんどん質問してアドバイスを受けることをおすすめします。

