異業種M&Aで掴んだ事業基盤の拡張。
地場の信用金庫とつかんだ決断と新たな挑戦


元々は父親がトイレ関係などの衛生工事を中心に手がけていた会社ですが、30〜40年ほど前にご縁があり、三菱電機さまの空調工事を手がけるようになりました。現在は空調工事と衛生工事を主軸として事業を展開しています。
一般の住宅用空調はほとんど行わず、大型テナントへの空調導入や衛生工事、携帯電話サーバー用冷却エアコンなど、特殊かつ高い信頼性が求められる工事を強みとしています。
また、業界全体で深刻な人手不足が続く中、当社では他社が敬遠しがちなトイレの改修や鉄配管などの手のかかる作業にも真摯に対応してきました。誰もが嫌がる仕事にもしっかり対応することで、確固たる受注基盤を維持しています。

きっかけは「人手不足の解消」と「拠点の拡張」でした。自社で社員を雇用し、内製化を進めようとしていましたが、既存の第1倉庫では物量・容量ともに不足しており、駐車場も足りていませんでした。そこで、日頃からお世話になっている大阪シティ信用金庫さまに「どこか良い土地はないか」と相談したのが始まりです。
当初は、拠点の確保を目的に「不動産の購入」を検討していましたが、良い情報が見つかりませんでした。そんな中、大阪シティ信用金庫さまから、「M&Aによる事業拡大を検討しませんか?」と提案を受け、M&Aを検討し始めました。当時、同業のM&A案件はありませんでしたが、その際、ご提案いただいた案件の中に、魅力的な土地を保有する機械加工(マシニング)の会社がありました。
当社とは全く畑違いの製造業だったため、当初は躊躇しました。しかし、「異なる事業を持つことでリスクヘッジになり、相互にカバーし合えるのではないか」と考え、異業種M&Aへの挑戦を決断しました。


一番の課題は、相手方経営者さまとの関係性と、社内での説得でした。当時は私が45歳で代表就任から1年未満というタイミングだったこともあり、父親である会長からは「いきなり何を考えているんだ」と強く反対されました。
また、相手方の社長さまは65〜70歳ほどの大先輩で、最初は「こんな若い経営者に務まるのか」という感覚を持たれていたようで、会話が噛み合わない難しさがありました。しかし、私自身が真摯な姿勢で「右も左もわからないので、すべてを教えてほしい」と素直に伝え、丁寧にコミュニケーションを取るうちに、非常に親身になってアドバイスをいただける関係になっていきました。

言葉通り「フルサポート」で支えていただきました。5年ほど前はまだ「M&A」という言葉自体が現在ほど浸透しておらず、買収という言葉に抵抗感や不安もありました。会長からの反対もありましたが、当時の大阪シティ信用金庫の担当者さまが「私たちが全力でバックアップしますから、ぜひやりましょう」と背中を押してくださったことで決断できました。
M&Aは、守秘義務の観点から事前に開示される情報が限られており、直前まで不安な面もありましたが、資金面から実務手続きまで大阪シティ信用金庫さまが全面的に間に入って動いてくださったおかげで、相談から半年もかからずにスムーズに成約に至りました。右も左もわからない状態だった私にとって、本当に心強い存在でした。

設備事業側としては、課題だった敷地と工場を拡張できたことで作業効率や環境が大きく改善しました。
買収した機械加工の会社(現:ARAI WORKS)に関しては、成約から約2年後に相手方社長さまが体調不良で退任されたため、急遽私が経営を引き継ぐことになりました。当初は社員の方々にも戸惑いがあったかと思いますが、業務は現場に任せつつ丁寧に対話を重ねることで信頼関係を築いていきました。
現在では、新井設備工業とARAI WORKSの合同で忘年会を開くなど、垣根のない良い関係が生まれています。

「何でも正直に相談できる、最も信頼できるパートナー」です。担当者さまをはじめ、些細なことでも非常に話しやすい関係を築けています。
私たちの業界は波が激しいため、どれだけ売上があっても手元のキャッシュを確保しておくことが何より重要になります。資金調達や融資の相談をした際も、迅速に調べて素早く対応していただけるので本当に助かっています。
また、世の中には手数料目的のM&A仲介業者やネット業者が数多く存在しますが、本当に信頼できるのは日頃から自社のことを理解してくれている地場の信用金庫さまなのだと改めて実感しています。

実感として思うのは、「信頼できる金融機関に相談し、チャンスがあれば思い切って踏み出すこと」の大切さです。
会社を成長させるには、新しいことへの挑戦が不可欠です。しかし、インターネットや一括査定などの見知らぬ業者に頼るのではなく、自社の状況を熟知し、親身になって伴走してくれる信用金庫さまのような存在と一緒に進めることが、失敗しないM&Aにつながると感じています。

